女神の継承 感想と考察
「考察」と書いてありますがネットを探したらたぶん書いてあるなという程度のことしか書いていません(調べてないだけ)。ガチ考察というよりはこの人は初見でこう考えたんだな~という程度に読んでいただければ幸いです。
けっこう「これは苦手な人多いかもな…」という描写があり、ネタバレか回避のための情報かで迷うところ…白反転で苦手な人が多そうな要素を下記に記しておきます(ホラーなのでこれ以外にもいっぱい嫌~な描写はある。最終的には自己責任で)。
犬・赤子がかなり可哀想な目に遭います。生理に関わる描写があります。
いちおう観た人用の感想なのでここからはネタバレ配慮していません。長めの作品なので新鮮な気持ちで観たい方はネタバレ食うまえに観たほうがいいかも。
感想
めちゃくちゃ怖かった。最初はかつての奇跡体験アンビリーバボー(心霊写真とか心霊スポットとかやってた頃の)的怖さがありつつ、民族取材ドキュメンタリーらしくローテンションで進んでいったのでわりかし安心して観ていたのですが……
ジャンプスケアあるやん!!!
まあ一切ジャンプスケアなしのホラーって実際どうなんすかねというところもある。明るいホラーと言われるミッドサマーでもあるはあるからね。ジェットコースターで下るために登るようなもので、不可欠なのかもしれませんね。このたとえ本当に合ってるか?
後半だいぶ目そらしする時間が長かったですが、それはそれとして面白かった!人間が悪魔憑き動作をするとどうしてあんなに怖いんだ。
嫌~な雰囲気を漂わせながら全体的に救いがあるわけでもなく、赤子と犬もむちゃくちゃひどいめに遭う。ひどい目に遭ってる一部始終を見せられるのでキツい人にはほんとにキツいやつですよね…このシーン観てる間ずっとアカンアカンアカンアカン!!!て宮川大輔みたいになってた。その割に大人の人間がめちゃくちゃひどい目に遭うのは平気なの何なんでしょうね。不思議だ。
ラストをニム(祈祷師)のインタビューで終わってくれたのはかなり助かったかも。救いとまでは全くいかないんですが、やっぱり全滅ENDだと投げっぱなし感が酷い気がしたので、最後に生きているときのニムの姿を見られて良かったです。ニム……
そしてカメラマンね~
優秀すぎるというか、(勝手に監視カメラ設置とかの倫理面は置いといて)撮影に命かけすぎだろ!!と思いました。撮ってる場合か!!お前たち、すごすぎる。
それはそれとして優秀スタッフが「赤ん坊を確認しろ!」って言ったときモタモタモダモダして確認後もなんかモチャモチャしていたカメラマン、本当に良くなかったですよ!あそこ分水嶺だったでしょ絶対…ドア開け絶対阻止優秀スタッフ、安らかに。
赤ん坊をさらった理由が未だにちゃんと分かってないんだけど(パパおびき寄せるため?なんで?)、もしかしてこのドア開け作戦を成功させるための事前準備だったら賢すぎる。悪知恵すぎる。
謎的なものがはっきり解き明かされるわけじゃないので、自分が想像できる範囲で考えてみました。
考察
・ミンに憑いていたのは何だったのか?
一応作中では「ミンの父親の祖先に殺され子孫を呪った霊」「その怨みに呼応した様々な生き物の精霊」というような答えが与えられているのですが…
バヤンじゃね?と思ったんですよね……自己申告が嘘ではなかったんじゃないかと。
冒頭でナレーションが語っている、あらゆるものを精霊と呼ぶ文化→女神バヤンもまた精霊(かも)というのと、ラストにノイ(ニムの姉)が「バヤンが私の中にいるのを感じる」と言っていたやつ。
あれ、バヤンvs悪霊の可能性もありつつ、あれ自体が悪霊だったのではないかとも思わないでもないんですよね……線香逆さに刺して全員狂わせるあたりとか……バヤンが助けなかったと言うよりは、バヤン≒悪霊(になってしまった)のかなと思った。
悪霊=バヤンで最初からすべて騙していた、というとさすがに言い過ぎかなと思う。けれど、バヤンが悪霊と同一でありなおかつ異質であるような矛盾したことが起こっていたんじゃないかな?と思いました。日本で言うところの道真公のような。このへんはまだフワフワしてます。
最後にニムが「分からなくなった」と言っていたのも、日をかけてしまったせいか間違った儀式のせいかミンへ「継承」がなされてしまったんじゃないかな?とか。いや~……これはニム自身が「はじめから感じていなかった」と言っていたはずなので違うかも。
・バヤンはいたのか
いたんじゃないかな~~とは思う。ニムは感じていなかったと言っているけれど、信心がある間は感じていたようだし。私はその時のニムの言葉も信じたいと思っているので。「継承」がなされたためにニムの中からはいなくなったという説がある。(私の中で)てか継承されていないとさ~、ミンにニムやノイと同じように生理がきていたのに、最終的には痛みを感じていなかったり生理にフィーチャーされなくなっているのに対してちゃんと納得できないかもみたいな。この身体ほしいわぁって言ってた女神が悪霊憑き無視するかな?ミンの中でvsなったんかな?悪霊が憑いたことによって完全にトランス状態に陥りその辺の身体に関わる現象はおしまいになったとかはあるかも。
おじさん祈祷師が言っていたように、家系に大量の怨みを背負ったものがやってきたために(そして女神を拒んだ姉と結婚したために)祀られていれば恵みをもたらす女神だったバヤンが刺激されて荒ぶる神となってしまったみたいなこともあるのかな~とか。
狼ぽくなってしまった人間たちがミンを見てボスが来たみたいに後ずさったのとか、精霊たちの間でも強さの序列みたいなのがあるのかなと思って面白かった(場面はそれどころじゃない感じでしたが……)
あと気になっているのが、女神バヤンは出自不明と言っていた気がするので、もしかもしかすると斬首された者たちの怨念ともともと関係ある(あった)存在とか……?単純に破壊されたことの分かりやすい表象だからかもだけど、石像の首が落とされていたのも気になるんだよな。
あと大きな人間が首を刈って剣を持っているみたいな、ミンが悪夢で見ていた情景、私は一番にシヴァ神が思い浮かぶんだよな…これはまあ関係ない気はしますが…(あったとして、インド方面から流入してきたときに変容したとかそれくらいの設定かな?て感じ)ここまで行くと考えすぎかも。
おわり